伐採時期と木材価格を考える

 伐採時期再点検

[ 図1 ]

トーマ社(オーストリア)に合わせ\一部の林業組合が採用している新月伐採期間

  • 2005・2006年度は、9月~2月迄の6ヶ月間で、93日間の伐採期間
    ※国内では地域により9月~1月迄の5ヶ月間 (注1)
  • 伐採時期カレンダーの作成  → ※新月伐採カレンダー参照
  • ト-マ社の伐採時期カレンダーに基づき伐採し、葉枯らしを加え良質な木材を出荷している天竜T.S.トライシステム共同組合では、新月伐採と葉枯らし技術に取り組む林業業者に技術指導をおこなっています。

注1)
 木の内部の樹液は8月末に流れを止め、1月末から2月にかけ流れ始めるため、木の伐採期間は9月から1月迄の期間で、寒い地域や山岳地帯では、2月迄と考えます。

[ 図2 ]

日本の活動団体が公開している新月伐採時期

  • 2005・2006年度は、10月~1月迄の4か月間で、約28日間の伐採期間
    ※そ後上の、トーマ社が実施している伐採時期に切り替える業者が増えているようです。

 ニセモノも続出

 日本の新月伐採の木については、全国で「正しい新月伐採」を消費者に届けるための活動団体が設立されて、まだまだ十分な検証が必要なのに、何の根拠もない新月伐採で集客し、住宅を販売しようとする「商売人」が増え、詐欺行為といった事例まで報告されています。

 ホンモノかニセモノかといったハッキリ言い切れる時期になっているのかはわかりませんが、一般消費者が見極めるには、木材の含水量を計測する機械があるように、虫食いの原因とされている養分を測定する機器が安価に利用できるようになれば良いのですが、現時点では信頼有る工務店を選ぶことや事前に施工者の木材流通ルートを確認しておくことが大切なことになります。その上、出来れば伐採時期に工務店の担当者と山まで出向き、木材業者の説明を受けることが大切になってきます。

 木材価格のUP

 日本では、新月伐採された木が、製材所出荷価格で約40~50%の価格が上がり。無垢の木を中心とした健康住まいを設計している私にとっては、お客様に負担がかかり建設予算に影響する、頭の痛い事態となっています。

 新月伐採を日本に紹介したト-マ社(オーストリア)をはじめヨーロッパから出荷される新月伐採の木で加工したパネルは一般の木材と比べ5%程度価格は上っているようですが、秋は農産物の収穫時期にあたり忙しくなるための人件費アップなどといった理由で理解できます。

 日本でも木材業界の方が知恵を出し合えば、ヨーロッパ同様、多少の価格を上げるのみで出荷できる方法が見つかるものと考えており、「新月伐採の樹」が知られていない時代でも伐採する1/2の木材は「新月伐採の樹」であることを認識し適正な価格で引きされることを願っています。

  • 新月伐採木の価格UPの主な原因
    • 「正しい新月伐採」を認証するため、伐採時の立会やコード番号による管理を実施しているための人件費の加算
    • 伐採期間が短いため伐採量が少なく価値が上がる
    • 活動団体への基金
  • コストダウンの検討案 ・・・素人考えですが?
    • 伐採期間を増やし、通常伐採としてローテーションを見直す
    • 地域(又は組合・会社など)ブランドとして新月伐採のみを取扱い、木材に刻印や認定やコード番号管理などを簡素化する。
    • 新月伐採の情報ネットワークを少ないお金で広め、流通システムを簡素化する。
    • 法律で木材の伐採期間を新月樹のみに限定、国内産の木材全てが「新月伐採の樹」として流通
      ※昔ヨーロッパのある国で実施されていたことを聞きましたが…